標準入力法の入力方法
共同住宅の計算に、標準入力法の知識は必要
これまでモデル建物法の計算プログラムと入力方法の概略をご紹介してきましたが、ここで標準入力法での入力方法(WEBプログラム)についても紹介しておきます。モデル建物法が導入されたばかりの時は、モデル建物法を使うには5,000㎡未満の非住宅用途の計算にしか使えないという面積制限があったものの、平成28年度基準になってからはその面積制限は撤廃され、どんな大きい規模の非住宅建物でもモデル建物法が利用できるようになりました。その結果、それまで使用していた標準入力法の利用機会は大幅に少なくなりました。とはいえBELSやCASBEEなどの建物評価をより良くしたい場合や、容積率緩和のために高い評価点が欲しい場合に対応しなければならない時などにはまだ需要がありますし、共同住宅等の共用部分は現段階でも標準入力法を利用しての計算が必要になっています。最近はむしろ共同住宅の計算時に使うプログラムのようになっているという方もいるのではないでしょうか?
そのプログラムはモデル建物法と同じく、WEB上の建築研究所のページ「5.2 標準入力法・主要室入力法」から開くのが定番となっています。正式名称は「エネルギー消費性能計算プログラム (非住宅版)」といい、現在Ver2.4のバージョンとなっています。
モデル建物法に比べ見た目がカラフルになっており、親しみやすい印象だと思う方もいるかもしれません。しかしモデル建物法や住宅の一次エネルギー消費量のプログラムのように直接入力していくチェックボックスやフォームフィールドなどのページがあるわけではなく、モデル建物法入力シートのように「外皮・設備仕様入力シート_Ver2用」というエクセルデータに入力して、CSVデータを読み込ませる方法しかありません。これもモデル建物法と同様に、MAC版のエクセルや古いバージョンのエクセルでは対応できないこととなっています。
しかもモデル建物法に比べて標準入力法の入力シートの項目は多く、入力すべき室も多いです。マニュアルについても丁寧な説明のモデル建物法に比べて、どちらかというと不親切な印象です。またVer2系になってからはプルダウンのあるデータが利用できるようになったものの、半角文字で入れる数字を全角文字で入力したり、文字が1字でも違うなど仕様に合わない入力をするとWEBプログラムに読み込ませることができない仕様のため、細心の注意で入力することが基本になります。
無事に入力を終えて読み込ませることに成功しエラーもなく計算が終了すると「BPIとBEIのほか、一次エネルギー消費量の結果」を出力することができます。モデル建物法では「BPImとBEIm」しか出力されず建物の一次エネルギー消費量自体が謎という仕様に納得のいかない方にとってはスッキリする結果が得られます。モデル建物法と比べて入力の難易度が高いため、結果が出た時の達成感もあるので時間に余裕がある時は標準入力法での計算にも挑戦し、結果を比べてみるのもいいかもしれません。
(以下、2020年(令和2年)1月14日追記)
現在のプログラムではCSVファイルを作成しなくても、エクセルファイルのまま読み込ませることが可能となっています。また、法改正により共同住宅の共用部分の評価が省略できるようになったことから、建築物のエネルギー消費量計算プログラム非住宅版(標準入力法)の使用頻度はさらに低くなっていくことが予想されます。