届出に必要な添付図面

2019年12月5日

確認申請図をベースに必要情報の追加を

建築物省エネ法の規制により初めて省エネ計画を届出するという設計者の方々から、届出に必要な図面についてのお問い合わせを数多くいただいています。届出書を作成するにあたり、省エネ計算の評価結果を記載する箇所があります。そのため計算書を作成し添付する必要があるのですが、その根拠となる図面を添付することも当然必要となってきますので、それらについて一度まとめてみたいと思います。

届出先となる所管行政庁のホームページなどで、必要図面を確認できるのも一般化してきている印象があります。所管行政庁によっては丁寧にリストを公開していることもありますので事前に確認してみてください。例として東京都練馬区のホームページには「届出に必要な図書(参考)」というページがあり、とてもよくまとまっていましたので、画像を引用させていただきます。

届出に必要な図書:届出書、添付図書、その他所管行政庁が必要と認める図書

届出に必要な書類一覧(参考)
届出に必要な書類一覧(参考)

建物の形状や用途によって必要図面等は一様ではありません。基本的に確認申請で作成した図面を流用することができますので、不足している情報を加えたり、関係のない図面を省いたりすることで省エネ計算に必要な図面をまとめていくこととなります。

確認申請では必ずしも求められないものの、外皮性能計算をする上で欠かせない情報として、「断熱材の仕様(種別や厚さ)」と「開口部の仕様」があげられます。断熱材の仕様は「仕上表や矩計図」に明記することで根拠にすることもできますが、建物の形状が複雑だったり断熱材の仕様が一様でない場合や、断熱補強の範囲を明確にするには「断熱伏図」などを作成しておくことも有効となっています。

開口部の仕様の根拠としては「建具キープラン+建具表」を添付することで対応できます。換気や採光に関係のない開口部でも、外皮性能を計算する際には全ての建具寸法の情報が必要になりますし、その開口部の熱貫流率の根拠としてサッシ材料やガラス種類などの情報が必要となります。最近の計画ではペアガラス以上の性能を持つガラスを採用するのが一般的になってきていますが、その空気層の厚さで計算値も変わってくるため、それらの情報も図面に記載してあることが求められます。

一次エネルギー消費量を計算するには確認申請に必要な情報だけでは計算や評価自体が不可能であったり、著しく低い評価結果になってしまうことがあります。そのため、実際に使用する設備機器の品番の情報がまで記載してあるのが望ましいです。

確認申請時には非常用照明までしか決まっていない場合でも、一次エネルギー消費量を計算するには実際に使用している照明器具の消費電力などが評価対象となりますし、空調機、給湯器、換気扇などは設置場所の記載だけでなく、「設備機器表」に記載された機器のメーカーや品番から、その機器の能力値がわかる場合があります。その能力値をWEBプログラムに入力することで一次エネルギー消費量の詳細な評価が可能になります。

また、機器の直接的な性能に頼るのではなく、「節水水栓」や「調光などの照明制御」や「太陽光発電」など省エネに有効な配慮を実施している場合には、積極的に資料追加しておくことで一次エネルギー消費量の性能値をあげるのに有効となります。