2018年のプログラム更新

2019年12月5日

鋼製建具の扱いに変化あり

毎年、新年度となる4月に入ると法規制などの開始や変更などが広く行われます。「建築物省エネ法」においては目立った変更などはありませんでしたが、建築研究所がホームページで予告しているように原則的に4月と10月にはプログラムの更新が行われます。今年2018年(平成30年)の4月にも既に住宅用途と非住宅用途の両方でプログラム更新がされ、それに伴いマニュアルも刷新されています。

プログラム更新前に計算書を作成し届出を済ませているという方は、4月以降に行政指摘などで再計算をする必要が発生することと思います。その場合、前バージョンのプログラムを使用しないと計算結果が変わってしまう可能性もあるため注意をしてください。これまでも同様にプログラム更新後6ヶ月は以前のバージョンも使用できますが、それ以降に古いバージョンのデータで再計算をしようとしてもプログラム自体がWEB上でなくなってしまうため、設計中断や工事中の変更などが発生する場合には新たなバージョンでに入力をし直すという手間が発生することも考えられます。

2018年4月のプログラム更新
2018年(平成30年)4月のプログラム更新

さて、プログラム更新の内容をみてみると主にエラー補正のほか、新たに追加される計算項目があったり入力方法の変更を要するものもあります。設計者が入力を行うにあたり、注意すべき点がありますのでおおまかに見てみることにします。

まずは非住宅用途で使用する「標準入力法」において、ver2.4系からver2.5系となり見た目がかなりスッキリしました。というより、初めてプログラムを使用する人にとってはシンプルすぎて意味不明なインターフェイスなのではないでしょうか?エクセルの入力シートに入力してから読込させる方式に変わりはありませんので、今まで通り行えます。しかもモデル建物法と同様にCSVデータを出力する手順を省略しエクセルデータのまま読込できるようになったので、より使いやすくなったと思います。また入力シートにおいてコージェネレーション設備の部分が新しく追加されていますので、導入する計画がある場合にはより細かく評価できることになりました。計算を読み込ませた後の結果表示できれいなグラフが表示されるのが好印象です。

非住宅標準入力法のプログラム(ver2.5系)
非住宅標準入力法のプログラム(ver2.5系)

「モデル建物法」においては空調設備などに細かい追加事項があるものの見た目的には大きな変化は見られません。しかし非住宅(標準入力法とモデル建物法両方)の外皮性能(開口部)を入力をする際に、作業する上では比較的大きなインパクトがある仕様変更がありました。これまで鋼製建具(スチールドア、シャッター、ガラリ、カーテンウォールのパネル部分)などは建具表に記載があっても無断熱の外壁として計算していましたが、ガラス種類で「S:建具表に記載のある光を通さない鋼製建具等」というのが選択できるようになったことで、外壁面積の算出がよりシンプルになったと思います。

ガラスの種類の選択枝
ガラスの種類の選択枝

住宅用途の「エネルギー消費性能計算プログラム」ではver.2.3系からver.2.4系となり、一見したところ大きな変更はありませんが、「空気集熱式太陽熱利用設備」という項目が追加されています。住宅用途の省エネ設備では「太陽光」と「コージェネレーション」に引き続き新たな選択肢が増えたことで、将来的に省エネ設備が普及化していくことを期待します。またその追加の影響もあり、これまで出力シートは2ページだったものが3ページに増えてしまいました。増えてしまった3ページ目は空気集熱式太陽熱利用設備の内容だけなのですが、その設備を使用していない物件には全く不要のページです。共同住宅などで計算住戸数が多い場合には計算結果の印刷枚数が単純に1.5倍に増えてしまうので、行政からの指摘がない限り3ページ目は削除して届出をするようにしようと考えています。