共同住宅を計算するときの評価対象住戸(2)

2019年12月5日

形状が複雑なほど共同住宅の評価対象住戸数は増加!

共同住宅の評価対象住戸は外皮条件が全く同じ場合には省略してまとめられるということは前回書きましたが、形状があまり単純でない計画の場合はどうなるのでしょうか?

例えばRC造の建物の1階部分の一部にエントランスホールや駐輪場など共用スペースを計画しているとか、高度斜線や道路斜線などで上階に行くほどセットバックしているなど。また平面形状も単純でない場合もよくあります。特に断面的に整形でない場合には、熱橋がどのような形で発生するのかのイメージを持ち合わせておく必要があります。

例として1階部分の一部に駐輪場や共用廊下がある場合、202号室と203号室は同じ「中間階中間」の住戸でありながら、駐輪場からの熱橋を考慮するかどうかで全く同じ外皮条件とはいえなくなっています。

(例3)形状が複雑になると評価対象住戸数は増加する図
(例3)形状が複雑になると、注意が必要です。この場合評価対象住戸数は16戸です。

実際のところ、審査基準の厳しさは行政の担当者によって変わります。審査の目が甘い時には見逃されることでも、厳しい担当者に当たってしまうと度重なる追加変更が必要になってくるので、計算を始める時点から厳しめに評価対象住戸数を設定しておくことをお勧めします。

また、高層住宅を計画する場合、上階に行くに従い階高に違いを持たせるような設計をする場合が多くあります。この場合でも平面プランは同じでも外皮面積が若干変わってしまうので、厳密には同条件といえなくなります。設定した階高ごとに評価対象住戸数を追加しておく必要があることにも注意が必要です。

住宅の評価では外皮性能の計算結果を元に一次エネルギー消費量の計算を住宅用のプログラムによって行うことになっています。さらに共用廊下やエントランスホールの評価には非住宅の標準入力法の計算が必要になり、加えて1階部分に店舗などがある場合には、非住宅のモデル建物法などの計算も必要になります。建築研究所のサイトでは主に4種類のソフトが公開されていますが、住宅用途を持つ複合建築物の計算には全てのソフト(WEBプログラム)を使っての計算が基本となっています。