エネルギー消費性能計算プログラム(住宅版)

2020年1月14日

住宅用途の計算ではWEB上で直接入力

これまで非住宅の一次エネルギー消費量を計算するツールについて紹介してきましたが、住宅用途の一次エネルギー消費量を計算できるツールについてもご紹介したいと思います。現在のところ非住宅用のツール(モデル建物法および標準入力法)とは違い、エクセルの入力シートというものがないので、WEB上のチェックボックスやテキストボックスに直接数値を入力していき、入力が済んでから計算し、届出の様式を出力をするような手順となっています。

エネルギー消費性能(住宅版)
エネルギー消費性能(住宅版)

例によって建築研究所のサイトから開くのが定番となっており、「4.1 エネルギー消費性能計算プログラム」という場所にリンク先があります。2017年(平成29年)4月から一般的な「エネルギー消費性能(住宅版)」のほかに、「エネルギー消費性能(気候風土適応住宅版)」と「エネルギー消費性能(建築物省エネ法 住宅事業建築主の判断基準)」という計算ツールが追加されました。気候風土適応住宅を計画する場合や住宅事業建築主にあたる事業主の場合にはその計画にあったプログラムを使用することになりますが、一般的な計画には現在の最新版である「を使用するのが定番となっています。

建築研究所 4.1エネルギー消費性能計算プログラムのトップページ
建築研究所 4.1エネルギー消費性能計算プログラムのトップページ

このツールでは戸建住宅と共同住宅の一次エネルギー消費量を計算できることになっています。共同住宅の場合は評価対象住戸ごとに作成が必要であり、複数住戸の結果を集計する機能などはないため、このツールとは別にエクセルなどで作成する必要があります。

非住宅用のツールと同様に「基本情報」から順番に外皮性能と設備情報を入力していくことになります。外皮性能には外皮面積の合計のほか、外皮平均熱貫流率(UA) や平均日射熱取得率(ηA) などの数値を入力することになるので、予め外皮計算をしておくことが必要です。

また設備仕様が未定という場合でも、「設置しない」という選択肢や「特に省エネルギー対策をしていない」などの選択をすることも可能です。しかしその場合には一次エネルギー消費量の数値が大きくなってしまいがちとなり、省エネ基準を達成させることが難しくなる場合もあるので、仕様が決定しているものがあればなるべく細かく入力しておくことをお勧めしています。

全体の設備入力をしたあと上部の「計算」ボタンを押すことで各設備ごとに基準値と設計値のエネルギー消費性能が表示されます。このあと、モデル建物法と同じように「出力」ボタンを押すことで決まった様式の結果シートを作成できるのですが、建築物省エネ法の届出様式だけではなく、「性能向上計画認定申請」や「低炭素認定申請」などにも対応しているのが特徴的です。その場合は様式が若干変わってくるので、注意が必要です。

また住宅用途の計算ツールはなぜか英語入力にも対応しています。届け出先に提出する様式は日本語で出力されるため、あくまでも入力する段階で日本語より英語を使いたい人のための配慮かと思いますが、国内の基準である省エネ計算を多くの外国人技術者が担うことを想定しているのだとすると、少しだけ不安になります。