達成基準について(2)

2019年12月5日

PAL*?UA?ηA?Q値?μ値?

前回の記事からの続きになりますが、今回は下表の列部分について書いていこうと思います。

まずは「非住宅」「住宅」が分かれているのに気がつくと思います。単純に用途が「住宅」であるかそうでないかの違いですが、この違いだけで計算の基準や方法(使用するプログラム)に大きな違いがあります。なので例えば「非住宅」の計算方法を知っていても、「住宅」の計算は全くできないという状況が起こり得るのです。

さて、さらに表をみてみると非住宅は「一次エネ」「外皮:PAL*」とあり、住宅では「一次エネ」「外皮:住戸単位(UA,ηA)」とあります。共通にある「一次エネ」というのは「一次エネルギー消費量」のこととして理解できそうですが、外皮にでてくる「PAL*(パルスター)」とか「UA(ユーエー)値」「ηA(イーターエー)値」とかについてはややわかりにくいことかもしれません。

ちなみに平成25年基準に変更された時、PAL*の前は、「PAL(パル)」でしたし、UAの前は「Q(キュー)値」、ηAの前が「μ(ミュー)値」となっており、せっかく覚えても新しい基準に改正されるたびに、頭の中の更新が必要です。

建築物省エネ法に基づく基準の水準について
国土交通省:建築物省エネ法の概要説明会テキスト http://kentikubutsu-shoeneho.gio.filsp.jp/201607/pdf/text/shoene_gaiyou.pdf

それぞれの意味や計算方法についてはいずれ別記事として書くことになると思いますが、まとめると以下の通りです。非住宅の場合は1種類(PAL*)、住宅の場合は2種類(UAとηA)の基準があることは知っておくべきです。

  • PAL*(パルスター)=Perimeter Annual Load * =年間熱負荷係数
  • UA(ユーエー)=外皮平均熱貫流率
  • ηA(イーターエー)=外皮平均日射熱取得率

さてこの表で実は注目すべきところがもう一つあります。それは非住宅の外皮(PAL*)が誘導基準の新築以外では対象外となっているところです。平成25年基準で一次エネルギー消費量の基準が新設されるまで、「省エネ基準=外皮基準」というものでしたが、これからはその外皮基準を上回ってもよく、一次エネルギー消費量だけを評価対象としていくようです。

考えてみると空調設備の省エネ性能をあげるのに外皮性能は大きく関わってくるのですから、外皮基準をなくしてそれらの評価を統合することは可能だということなのでしょう。

せっかくご紹介した「PAL*」をはじめ「UA」や「ηA」の必要性は、今後なくなっていく方向なのでしょうか?今後の成り行きも気になるところです。